「社会的規範を大きく逸脱、看過できず」嘱託殺人事件で中川日医会長
レポート
2020年7月29日 (水)
橋本佳子(m3.com編集長)
日本医師会会長の中川俊男氏は7月29日の定例記者会見で、ALSの女性患者(当時51)に対する嘱託殺人容疑で2人の医師が逮捕された事件について、「生命を終わらせる行為は医療ではない」と指摘した上で、「医の倫理に照らす以前に、一般的な社会的規範を大きく逸脱している」と述べ、決して看過できないと問題視した。 医師の役割は、患者の苦痛に寄り添い、ともに考えることにあるとし、「死を選ばなければいけない社会でなく、生きることを支える社会を作る」との方針を表明。本事件については、どんな視点で関わっていくか、あるいは関わっていく必要がないのかなどは、今後の動静を見極めて判断していく意向だという。 「報道によれば」と断り、今回の事案は尊厳死や安楽死ではなく、「嘱託殺人」であるとし、これを契機に、尊厳死や安楽死について議論すべきではないとも述べた。 嘱託殺人事件について会見する、日本医師会会長の中川俊男氏。 本事件では、大久保愉一容疑者(42、仙台市泉区)と山本直樹容疑者(43、東京都港区)が、京都市中京区に住むALS患者とTwitterで知り合い、殺害を頼まれたとされる。2019年11月30日に両容疑者...
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