初の論文、腸重積の症例分析まとめ帰国◆Vol.12
スペシャル企画
2016年1月15日 (金)
橋本佳子(m3.com編集長)
――九大時代は、「なぜ女性が外科に……」と見る目もあったけが、イギリスではなかった。 おかげで2年間の中で本当にさまざまな経験をしたけれど、一番印象に残っているのは、腸の閉塞がたくさんあるMultiple(多発性の)腸閉塞の乳児。閉塞を解消し、腸を全部つないでも、腸が短いので、なかなか食べられない。静脈栄養を人間で初めて実施したのは、アメリカのDudlickで、1968年のこと。それが報告されたのは、1970年。だから私の留学時代は、頭皮の末梢静脈から脂肪乳剤を入れていた。私は職人芸のように頭皮に針を刺すことができたので、その子の両親から、神様みたいに思われて……。1歳になった頃に、ようやく口から物を食べられるようになり、両親が自宅でのパーティーに呼んでくれた。 ――留学した年の1968年夏、第15回英国小児外科学会が、リバプールで開催され、日本からも著名な先生方が参加した。 Big Daddyの配慮で、学会中は病院の仕事を免除してもらえた。賛育会病院時代の指導医だった、駿河先生をはじめ、数人の先生方が、日本から来日し、リバプールの空港までお迎えに行った時のこと。タイ国王の従兄に当たる...
m3.comは、医療従事者のみ利用可能な医療専門サイトです。会員登録は無料です。