“事故調”、「非識別化」に要注意
レポート
2015年8月24日 (月)
橋本佳子(m3.com編集長)
8月22日の鹿児島県病院厚生年金基金のシンポジウム「医療事故調査制度まったなし―秒読みになった医療事故調査制度―」で、「非識別化」について掘り下げて講演したのは、弁護士の井上清成氏。医療事故調査・支援センターへの報告、遺族への説明、センターへの事故調査に関する報告書の提出など、さまざまな場面で、「非識別化」が求められると注意を促した(シンポジウムのVol.1は、『“事故調”のパラダイムシフト、認識せよ!』を参照)。 井上氏は「医療者の名前を墨塗りしても識別できるかどうかは、相手が持っている情報との兼ね合いで決まる。この相対性こそが非識別化の本質」であると説明。例えば、遺族は、医療事故当時やその前後の診療状況などについてセンターよりも情報を持っている上、カルテなどの開示請求も可能なため、遺族への説明時などにおける「非識別化」の程度は上がるとした。 医療事故調査制度では、センターが調査を実施した場合、医療機関と遺族にその調査結果を報告する。井上氏は「法律と省令のいずれも、両者に同じ報告をすることは想定していない」と述べ、「非識別化」の点で両者への報告内容は異なるとした。さらに、医療事故に関...
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