帝京大・アシネトバクター、「事例の全容解明を」- 山形大学病院検査部副部長・准教授・森兼啓太氏に聞く
インタビュー
2010年9月5日 (日)
橋本佳子(m3.com編集長)
帝京大学医学部病院は9月3日、多剤耐性アシネトバクターによる院内感染が発生、2009年8月から2010年9月までに46人の感染を確認したことを公表した。これまでに27人が死亡、うち9人は多剤耐性アシネトバクター感染と死亡との因果関係が否定できないという。 今回の事例をどう受け止めたか、医療者は日常診療で多剤耐性アシネトバクターに関し、どんな点に注意すればいいのか――。元国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官で、現在は山形大学医学部附属病院検査部副部長・准教授の森兼啓太氏にお聞きした(2010年9月4日に電話取材)。 ――アシネトバクターの分離状況や感染力など、基本的な点をお教えください。 国立感染症研究所が実施しているJANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス)では、2007年7月からアシネトバクター属の解析を行っていますが、対象医療機関から報告された全菌株数のうち、アシネトバクター属は2.2%で、普通見られる菌です(2007年7月から2009年12月のデータ。感染研のホームページを参照)。しかし、多剤耐性菌は、アシネトバクター属のうちの0.14%にすぎず、滅多に出るわけで...
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