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「医療過誤」から「医療事故」に新聞報道はどう変化したか

オピニオン 2010年8月17日 (火)  岸友紀子(東京大学医科学研究所)

医療事故(医療過誤)に関するメディア報道は、医療界に大きな影響を与えます。医療界に安全対策を促すこともあれば、防衛医療を招くこともあります。私は、この問題の研究を続け、最近、研究成果を米国の「Risk Management and Healthcare Policy誌(2010:3 33–38)」に発表しました。今回は、この発表内容をベースに、日本における医療事故報道の変遷について紹介します。 ご参考までに、米国では1990年代半ば以降、医療事故対策とともに、医療事故報道についての研究が進んでいます。直接のきっかけとなったのは、1994年にダナ・ファーバーがんセンターで起こった医療事故でした。乳がん患者に対して抗がん剤が過量に投与されたというものです。この患者がボストングローブ紙のヘルスコラムニストであったため、紙面に大々的に取り上げられ、医療事故問題に対する社会の関心が高まったのです。 では日本ではどうでしょうか。それを検証すべく、日経テレコン21(http://telecom21.nikkei.co.jp/)のデータベースを利用し、「朝日新聞」「毎日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「...