乾癬へのバイオ導入は「life restoring」【平成の医療史30年◆乾癬編】
大槻マミ太郎氏
医療に関する一時代を振り返る「平成の医療史30年」。乾癬編では、自治医科大学皮膚科教授の大槻マミ太郎氏に30年間の臨床で感じた変化を振り返ってもらった。生物学的製剤登場がもたらした最大のインパクトとは。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・河野祐子/2018年12月19日取材、全3回連載)
「乾癬といえばシクロスポリン」の90年代
――昭和から平成に変わる頃、乾癬の治療はどのような状況だったのでしょうか。
1980年代半ばまで、乾癬の患者さんは外用ステロイド一辺倒でした。しかも、1回の処方量がキログラム単位の患者さんもいる状態。最強ランクのステロイド外用薬をとにかく塗りたくり、サランラップや包帯でくるんで吸収を良くするというものでしたが、今考えると本当に気の毒になる治療です。また、私が医師になるちょうど前年の1985年(昭和60年)に国内で乾癬初の内服薬チガソン(一般名:エトレチナート)が承認されたのですが、この薬剤は催奇形性があるので若い人に使うのは難しかったですね。
ですから、1992年のシクロスポリンの適応追加は画期的なことで...
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