”Value”を重視した治療開発のために医師が考えるべきこと
オピニオン
2021年9月12日 (日)
國頭英夫(日本赤十字社医療センター化学療法科)
私は”Value”を重視した治療開発のために、非営利型社団法人「SATOMI臨床研究プロジェクト(略称SCP)」を設立し、臨床研究のサポートを行おうとしています(『効果を落とさずに「薬」を減らす研究をサポート-國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長に聞く◆Vol.1』を参照)。この”Value”について、ですが、2015年のASCO(American Society of Clinical Oncology)でのplenary sessionにおいて、ニューヨークのLeonard Saltz博士が“Perspectives on Value”と題する講演を行い、その概念を提示しています。 Saltz先生によると、Value=Benefit/(Cost+Toxicity)で表されます。従来は”risk-benefitのバランス”というような言葉がよく使われ、治療効果と毒性が対比されていて、「あの薬は良く効くけど毒性が強い(から使いにくい)」とか、「この薬は大して効かないけど、ほとんど副作用がない(から使おう)」などという表現がされていました。ここに”Cost”を導入することに...
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