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「科学で博士号」記者の誤り-田中幹人・早稲田大学政治学研究科准教授に聞く◆Vol.2

レポート 2014年7月16日 (水)  聞き手・まとめ:池田宏之(m3.com編集部)

――STAP問題を引き起こしたマスコミの事情とは何でしょう。 ― 海外では、メディア不況で、大手新聞の科学部から、企業などの広報に移ることが、珍しくありません。当然、記事を書いていた側ですので、かゆいところに手が届くプレスリリースを出し、マスコミもその魅力的な文言に抗えないわけです。NASA(米国航空宇宙局)が2010年に(ヒ素を利用して生息する)微生物について、「宇宙人の発見か」と面白く解釈されるような発表の仕方をしたのが良い例です。NASAのような機関でも予算が削られる中、広報からすれば、意図的に広報を魅力的にして、記者の方も気付きながら釣られている関係があります。「(誇張を)やりすぎ」という批判はあると思いますが、「Science for Sale」の中では、そうやって社会からの理解を得ないと、科学にお金が回らない事情があり、STAP細胞の報道も同様のパターンだったと考えられます。医学の場合は、応用科学と密着しているので、より避けられない問題です。 早稲田大学政治学研究科の田中幹人准教授は、マスコミが社会的に正しい選択を誘導する科学報道ができていないと指摘する。 ―――なぜ冷静に...