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「入院から在宅」コストではなく尊厳の問題―田中滋・地域包括ケア研究会座長に聞く◆Vol.4

インタビュー 2017年8月28日 (月)  高橋直純(m3.com編集部)

――一地域包括ケアシステムを説明する「植木鉢図」が一つ一つの家庭、利用者だとすると、個別事例はこれまでもたくさんあったと思いますが、地域包括ケアシステムができていると言えるのでしょうか。 ある「個別包括ケア」ができている状態と、地域包括ケアシステムができている地域では話の次元が違います。優れた医師やナース、あるいはケアマネジャーや福祉職によって、これまでもたくさんの優れた「個別包括ケア」は行われてきました。ただ、荒れた土地でも花が咲く可能性はありますが、それでは超高齢期全体を視野に入れた戦略とは言えません。きちんと耕して肥料をまけばもっと多くの花が咲くでしょう。そのためのプラットフォーム作りが、地域包括ケアシステムなのです。 ――似た言葉として「地域医療構想」があります。両者の関係を教えてください。 田中滋氏 両輪の関係です。地域医療構想は退院後の生活を考えるためにも病床機能の分化を提唱しており、地域包括ケアシステムが存在しないところでは、地域の急性期病床や回復期病床の数も決まらないはずです。地域包括ケアを考える時にも、急性期対応をどこがしてくれるかを考える筋立てが不可欠です。 高齢者...