『ハンムラビ法典』に医療は逆行? - 田邉昇弁護士に聞く◆Vol.3
インタビュー
2015年5月15日 (金)
聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
――「トンデモ裁判」が出る背景には、医師が書く意見書や鑑定書にも問題があると思います。 医療における、おかしな裁判例には二つの理由があると思う。一つは、事実認定に誤りがあるなど、経験則違反の場合。もう一つは、法律の趣旨、一般的な法則に則っていない場合という、論理則の違反。二つとも上告理由になりますから、裁判所の判決過誤というべきものです。 経験則ですが、裁判は当事者主義ですから、両方が証拠を出します。原告側(患者側)が今は組織化されていて、おかしな意見書を書くドクター集団がかなりの数がいるのは事実。「これは有責だ」と言うために、どんな組み立てで、どんな文言を使うか、という点に長けている専門家がたくさんいます。 ――医学的な観点からの意見書ではない。 もちろん、医学には「絶対」はないので、「例えば、こうした考え方で、このような見方ができる」と言うことはできます。いろいろな統計的資料を持ってきて、一定の理屈を付けることは可能。けれども、明らかに「医療水準」という視点から見て、明らかに臨床現場と違う意見書が結構ある。あとは論理が飛躍しているものとか。 けれども一方で、裁判官が、本当に言葉のう...
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