患者家族の暴言をカスハラと認めず、福岡高裁判決が波紋

医療現場でも被害が深刻化するカスタマーハラスメント（ペイシェントハラスメント）。具体的にどういった行為がカスハラと認められるのか、医療機関の損害は賠償される場合があるのか――。こうした疑問を抱く医療従事者は多い。そうした中、7月に福岡高裁が下した判決が波紋を広げている。一審で違法なハラスメントと認められた患者家族の言動の多くについて、患者らの「精神的不安定さ」などを理由に「違法性があるとまでは認められない」と判断を覆したからだ。損害賠償については、一審、二審とも、患者家族の言動と看護師の退職などとの因果関係を否定し、請求を棄却した。病院側は「医療を崩壊させかねない常軌を逸した判断だ」として、最高裁に上告受理申立てをしている。...