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「専門家集団の役割」知った震災の経験【平成の医療史30年◆生殖医療編】

2019年4月3日  平成の医療史30年

 【平成の医療史30年◆生殖医療編】の第2回は、社会との接点の多い日本産科婦人科学会の活動について。日本産科婦人科学会元理事長・吉村泰典氏の話を続ける。 非常事態、専門家集団としてやるべきこと  2011年には、東日本大震災が起きました。それまでは周産期医療の立て直しに走り回っていたのですが、今度は「国家的な非常事態において、周産期医療をどのように守るか」という新たな課題に直面したのです。  震災のような緊急事態でも、お産は待ってくれません。まず、広大な被災各地に産婦人科医を配置しなければなりませんでした。現地にある医療材料は1週間ほどで枯渇しますから、西日本から集めて被災地に送る手はずも整えました。  震災からまもなく、福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の拡散が起こりました。妊婦や赤ちゃんを抱える家庭にとって、放射性物質は見えない恐怖です。国は「安全だ」というけれど「安心」とは言えない状況で、我々は何をすべきか、という新しい問題が立ち上がりました。  まずは情報が不足していたので、学会として国民向けのお知らせを出すことにしました。被曝とはどう...