いろいろな介入によりD までは到達できるけれども、D からG に行くハードルがものすごく高い、というお話をしましたが、理想的にはこれは次のようになるべきだと考えます。 まずA'の「患者が自分の人生観、価値観をきちんと言える」というのは、ACPにおいて不変の、根幹となる、最も大事なポイントです。ここは譲れません。そのうえで、B'、C'の意思決定代理人ですが、先ほども説明したように、日本では仮に代理人を指定したとしても、その代理人がそれほど大きな力をもつわけではありません。もちろん「もしものときは(3人の息子のなかで)長男のお前に頼むよ」ということを明確にしておくことはそれなりの意味はあるでしょう。ただ、それよりなにより、患者本人の価値観が「代理人のみではなくて、(できるだけ多くの)周りの家族に」共有されていることのほうが重要です。 本人が病気になってなんらかの決断が必要なとき、本人から物理的にも心理的にも遠くにいる家族ほど、近くにいる家族の決断に介入してくる、ということはよく経験します(米国では"Daughter from California" syndromeなんていったりします)...
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