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あなたのACPはなぜうまくいかないのか?

2024年12月12日  メジカルビュー社

Prologue はじめに ニューヨークのコロンビア大学で緩和ケアの指導医をしている中川俊一と申します。 日本では緩和ケアと聞くと、がん患者さんに治療がこれ以上できなくなったときに初めて出てくる医者、というイメージがあるんじゃないか、と思います。もちろん、違っていたら嬉しいのですが。 少なくとも昔の私はそのように考えていました。 少し私の自己紹介をします。 私は1997年に医学部を卒業して耳鼻咽喉科の研修を始め、一般外科に移って研修を終えて、2005年に渡米しました。日本では件数が少ない肝臓移植の手術のトレーニングを受けるのが主な目的でした。当時の私はとにかく目の前の患者を治すこと、治せるかどうか、に集中しており、そのための勉強は一生懸命したのですが、白状しますと、治せない患者にはあまり注意が向いていませんでした。緩和ケアというのはあまり聞いたことがなく、どちらかというと、いわゆる「敗戦処理」的な役割だと理解していました。 手術の修練を目的に意気揚々と渡米したものの、健康上の理由でそれが叶わなくなり、いろいろと悩んだ末に内科へ方向転換して、米国で一般内科の研修を始めました。 当時の私...