第1相治験を終えた「ヘモグロビン・ベシクル」とは【時流◆人工赤血球、第2相治験へ向けて】
2020年10月、医師主導の第1相治験で人工赤血球「ヘモグロビン・ベシクル」が初めてヒトに投与され(first-in-human:FIH試験)、その後、重篤な有害事象は認められなかった(Blood Adv. 2022; 6: 5711-5715.)。過去には世界中で数え切れないほどの人工赤血球が研究・開発されてきたが、そのほぼ全てが実用化には至っていない。ヘモグロビン・ベシクルは、奈良県立医科大学医学部化学教室教授の酒井宏水氏が約30年研究を続けてきた人工赤血球であり、FIH試験を終え、実用化に向けたハードルを一つ越えられたことになる。「時流◆人工赤血球、第2相治験へ向けて」では、酒井氏、および奈良県立医科大学附属病院の輸血部部長を務める松本雅則氏(同大学血液内科学講座教授)に、人工赤血球ヘモグロビン・ベシクルとその治験について聞いた。第1回は、酸素の運搬体であるヘモグロビン・ベシクルの製法や特徴について。(聞き手・まとめ:サイエンスライター・小野寺佑紀/2024年10月16日取材、全3回掲載)...
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