インフォームド・コンセントに関するカルテ記載の注意点

インフォームド・コンセントに関する記録　1.同意書取得の留意点　もっとも、十分すぎるほどの説明をしても、ときには、理不尽なクレームを受けたり、思いもよらずに紛争化することがあるかもしれません。そのような時に備えて、事後的に客観的な検証に耐えるだけの証拠が重要です。後述する通り、カルテなどの診療記録は、紛争化すれば必ず、患者、家族側や裁判所も目にし、判断の根拠となり得る極めて重要な資料・証拠です。　手術や侵襲的な検査などの事前の説明の際には、多くの場合、診断名、治療方法、合併症などを記載した同意書を示して患者や家族に署名押印をしてもらうという方法がとられていると思います。重要なインフォームド・コンセントの場面で、同意書を取得すること自体は、大変望ましいことですが、他方で、同意書さえあればそれで問題ないというものではないことに留意する必要があります。あくまでも同意書の存在は、患者が説明を受け同意したという事実を推認させる事情に過ぎず、その反対の事情（たとえば、「説明が難しくて、よく理解できないままサインだけはしたが、もしわかりやすい説明を受けていれば同意していなかった」などの事実）があれ...