過敏性肺炎の抗原回避と患者教育

本章の構成について　過敏性肺炎の治療の基本は、抗原回避である（『指針』第11章を参照）。本節では、過敏性肺炎患者が抗原回避の必要性を認識し、その患者にとって最大限の抗原回避を実行・継続することを目指して行う「患者教育」において、医療者が認識すべきことを概説する。本節の内容は、『過敏性肺炎診療指針2022』に加え、過敏性肺炎患者28名へのインタビュー調査1)、すなわち、患者の療養経験の語りを基にしている。冒頭で抗原回避に影響する要素について押さえた後、抗原回避に向けた患者教育の要点について具体例を含めながら解説していく。　患者の抗原回避に影響する要素の理解　過敏性肺炎患者の抗原回避に影響する要素を理解することは、抗原回避の実行・継続を促す方法を検討するうえで重要である。患者が体の変調を認識し、過敏性肺炎の診断を受け、抗原回避の実行・継続に至る過程を示したのが図1（前述のインタビュー調査1)の結果をもとに著者が作図したもの）である。図1に示した3種類の「影響」とは、インタビュー調査1)の対象者（患者）がそのように認識した内容である。...