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鳥関連過敏性肺炎に環境調査が有用だった症例(後編)

2024年6月19日  南山堂

その後の経過 抗原の特定 経過観察のみで改善したこと、本例の職業が酪農業であったことから農夫肺を疑った。患者の状態が安定したことを確認し、まずは自宅への環境誘発試験を行った。初めは1日だけ帰宅したが、発熱や咳嗽、息切れの出現はなく、Pao2、WBC、CRP、胸部X線写真に有意な変化を認めなかった。続いて自宅への5日間にわたる環境誘発試験を行ったが有意な変化は認めず、自宅への環境誘発試験は陰性と判定した。そこで職場に抗原があると考え、職場を訪問(環境調査)した*4ところ、牛舎内および倉庫には牧草がシート状にプレスされた状態で積まれていた。牛舎内には乳牛用の混合飼料に群がる多数のハトを認め(図2)、牛舎の床、柱にはハトの糞がいくつも付着していた 。  図2 牛舎内の写真 牛舎内には乳牛用の混合飼料に群がる多数のハトを認めた。  職場の状況から、農夫肺だけでなく鳥関連過敏性肺炎の可能性が浮上した。まずは農夫肺の検索のため、患者の同意を得て職場で取り扱っていた藁および牧草の環境誘発試験を行った*5。環境誘発試験は使用していない病室(個室)を利用し、試験当日に職場から藁や牧草を持参して行った...