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震災2週目からの体力低下、注意点とは

スペシャル企画 2011年3月22日 (火)  若林秀隆(横浜市立大学付属市民総合医療センターリハビリテーション科)

東北関東大震災の発生から2週目に入り、今後、被災者の体力低下が問題となってくる。災害時の持久力低下について、リハビリテーションと栄養の視点から述べたい。 「サルコペニア」の状態を考えて 被災者の問題として、「サルコペニア(Sarcopenia)」という状態を考えるとよいだろう。サルコペニアとは、骨格筋・筋肉(Sarco)が減少(penia)していること。狭い定義では加齢に伴う筋肉量の低下、つまり老年症候群の一つである。筋肉量は30 歳ごろがピークであり、その後は加齢とともに低下する。一方,広い定義では、すべての原因による筋肉量と筋力の低下を意味する。70歳以下の高齢者の13%から24%にサルコペニアは認められ、80歳以上では50%以上に認められるとの報告がある。 被災時の持久力低下の背景としては、サルコペニアの考え方と同様に、「加齢」「活動」「栄養」「疾患」の4つの原因から分けて考えられる。被災状況では「精神」の問題も大切だろう。 まずは加齢による筋力の低下。被災地域には高齢者が少なくなく、被災前から加齢による持久力低下が認められた可能性がある。さらに、活動の面で、避難所生活では活動量...