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時間外手当裁判、奈良県が上告したわけ

レポート 2010年12月1日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

「この裁判では、(訴訟の対象となっている)2004年、2005年当時のことを争っているわけだが、その後、医師の処遇改善などを行った。しかし、大阪高裁判決は、現在の体制でもまだ不十分ということになる。また医師の労働環境を守ることと、地域住民の健康生命を守ることは、ジレンマに陥ることでもある。今回の判決を踏まえると、県では対応が困難であり、厳しい医師の労働環境、全国の救急医療の状況、医師の需給状況などの現実的な状況、さらにはこの判決が社会に与える影響を踏まえた上での慎重な判断を上級裁判所に求めたい」 奈良県医療政策部長の武末文男氏は、11月30日の記者会見でこう説明した。同県は、奈良県立奈良病院の二人の産婦人科医が、未払いだった時間外手当(時間外・休日労働に対する割増賃金)の支給を求めた裁判の大阪高裁判決を不服とし、上告期限の30日、最高裁に上告した。 大阪高裁は11月16日、「宿日直勤務は、実際に診療に従事した時間だけではなく、待機時間を含めてすべて勤務時間」であるとした一審の奈良地裁判決を支持する判断をした(『「医師の宿日直は通常勤務」、高裁判決の全国への影響大』、『「宿直」扱いは違法...