データは大量、「見落とし」の責任は誰が取るか - 東京大学大学院情報学環准教授・山本隆一氏に聞く◆Vol.4
インタビュー
2010年7月26日 (月)
聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)
――「どこでもMY病院」のデータは、医療提供体制のあり方を検討する際にも使うことができます。 どの診療科の医師が、どのくらい不足しているのか。こうした検討に使えるのであれば、本人が自らのためには一生使わないとしても、「どこでもMY病院」でデータベースを構築する意味があるわけです。 エビデンス・ベースド・ポリシー、根拠に基づく政策を講じるための利用のほか、商業的利用も考えられます。例えば、ある会社が新薬を発売し、売れたとします。では代わりに売れなくなった薬は何か。自分の会社の薬が売れなくなったのか、あるいは他社の薬を駆逐したのかもしれない。私は「誰にも迷惑にかからない」形であれば、私はデータベースをビジネスに使ってもいいとも思っています。ただ、「誰にも迷惑がかからない」保障は難しく、特定の企業のためにこうした利用が可能かは、コンセンサスを得る必要がありますが。 ――疫学的な活用という観点では、「がん登録」がなかなか進んでいない現状があります。こうした情報も、「どこでもMY病院」に加えることが可能なのでは。 はい、可能です。がん登録を不十分な匿名化で実施せざるを得ないのは、追跡を考えてのこ...
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