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癌研有明病院に見る“医療ツーリズム”の難しさ

レポート 2010年6月16日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

「政府では、“医療ビザ”の創設も検討しているようだ。確かにビザも重要だが、それがボトルネックではない」と語る金起鵬氏。 「外国人患者の受け入れに当たっては、一人ひとりに最善の医療を提供するために、診断・治療面だけではなく、通訳をはじめ様々なインフラの整備が必要。流行に乗り、安易に取り組めるほど、甘いものではない。その上、国民皆保険の維持が大前提であり、日本人への医療の提供に支障を来してはならない点にも注意が必要」 こう指摘するのは、癌研有明病院(東京都江東区)を運営する(財)癌研究会企画総務部・企画課長兼インターナショナルセンター長の金起鵬氏。同院では2005年から外国人患者の受け入れを本格化した。同部門は現在、専従2人、兼務2人の体制で、人材交流なども含め、様々な国際交流の窓口として機能している。 民主党政権が掲げる「新成長戦略」の柱の一つが医療であり、「医療ツーリズム」などの実施が打ち出されている。最近、健診を柱に医療ツーリズムに取り組む医療機関が増えつつあるが、癌研有明病院が実施するのは、外国人患者に対するがんの治療だ。 外国人患者の受け入れ数は、2005年103人、2006年1...