医学部地域枠「今のスキームはアウト、“アカハラ”の懸念も」
レポート
2019年12月9日 (月)
橋本佳子(m3.com編集長)
一般社団法人医療ガバナンス学会は「現場からの医療改革推進協議会」第14回シンポジウムを12月8日、都内で開催した。セッションの一つ「医学教育」で、坂根Mクリニック(茨城県つくば市)院長の坂根みち子氏は、「医学部地域枠を問う」というテーマで講演、「結論から言うと、今進められている地域枠のスキームはアウト」と問題視した。 その理由として、第一に、WHO(世界保健機関)の「へき地における医療者確保のためのガイドライン」(2010年)では、医師不足に悩む地域の出身者を対象とした入学枠を設け、総合医を養成するよう求めているが、日本の現状では全国から学生を集める地域枠がほとんどで、総合医に限らないことを挙げた。奨学金を返還して地域枠を離脱しようとした医学生に対する“アカハラ”が見られることも、実例を基に紹介。その他、入学の募集要項での条件に関する記載が不十分だったり、地域枠学生向けの特別カリキュラムが不足していること、卒業後の拘束期間(卒後の義務年限)が長いことなど、地域枠には多くの問題があるとした。 坂根氏は、「地域枠の名を借りた卒後進路の制限の権限を大学に持たせている現在の制度は、大学当局や指...
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