アカデミアで活動していたころ、僕が抱いていた悩みは「お金と時間がコントロールできない状態が慢性化していたこと」そして「従来のキャリアに魅力を感じられなくなったこと」という2点に集約される。学会や研究会、医局行事、学生教育や勧誘といったイベントが、カレンダーを埋め尽くしていった。自分のやりたいことは、他人が決めたスケジュールの合間にするしかなかった。この心理的矛盾を解消するために、「今スケジュール帳を埋め尽くしている仕事は、自分が好きでやっているのだ」と無意識に思い込もうとしていた。でもそれは幻想だった。本当にやりたいことから目をそらし、他人の人生を生きていた。...